編集者のご挨拶

・はじめに、ITS, AV: Automated Vehicle, CV: Connected Vehicleの黎明期を振返ると、1980 年代~2000年前後にITS, AV, CV分野の研究開発が活発に興隆し、各国で官民学を挙げて初期的 実用化が始まった。日本では車載運転支援、ナビ、 ETC, VICS等から始まった。これらを括る概念や言葉はなく、後に新たな分野概念が創られた。 それはその分野の進歩にとても大切だと誰もが知った。国際会議、国際標準化、安全規制等の活動が急遽起り、そうした会合の中でその分野を総括し、分野を分ける概念・用語が誕生した。

・当時トヨタに在籍し、その渦中に居た筆者も強い動機を得て、活動の牽引と拍車を掛ける立場を取った。この体験が筆者の後の支えとなり、このWeb編集に繋がっている。

基盤組織:本分野の黎明期から、主要国とも官民学が共同して革新技術の研究開発と新概念構築のため、迅速に業際・学祭的で協調的な委員会等の組織が設けられ、発展基盤となった。その寄与・体験の中で寄与貢献された誰もが快適に感じたと思われた。

・この分野の推進の動機付けは主に官学によって推進された。ITS, AV, CVは、次世代新ビジネス・技術・アプリの興隆等に向かう明快で強い動機はあるが、安全性、渋滞緩和、モビリティ効率、新興交通モード誕生等など公的に歴史的、画期的な転換を図る強い動機・目標・根拠・裏付けを以って、強固に推進を図ることが重要なのだ。
本分野は、安全、渋滞、モビリティに関する公的観点から法規制が伴う特徴もある。

・そうした強い動機付けを以って、車両システムや路車協調システム、社会システム等を『画期的に変革・転換させる』ユースケースやアプリを掘り起こすワークショップやヒヤリングが、官民学の協調によって、年月を掛けて繰り返し開催された。

・ITS, AV, CVの各分野の難題ブレークスルーは、永年の研究開発を以っても解決できないものがあり、余程の強い組織や協調、新法規制によっても、正面突破できるとは限らない。課題は多様で突如出現もすることも、当たり前の様に理不尽に目前に在り続け、 歴史的・伝統的で、解決手段が容易でないものも多い。一方、ブレークスルーは、幾つかの期待を込めた試みの中から唐突、画期的に、或は地道な一歩ずつの試みから、ふと生まれ、組込まれることも多い。そうした、ITS, AV, CVの難題や停滞を打破した幾つかの大きな出来事や、画期的な成果をもたらした事柄は幾つか思い当たる。

ナビ・デジタルMap・VICS・GPS・経路案内・V2X・交通モードの統合は、今や当然だが、多くの個別の革新的発明・発見の塊であり、画期的路車協調の賜物だった。安全で最短経路サービスは行き届いただろうか、Big DataとAIは交通難問を迅速に解決するだろうか。

ETCは道路課金という重要機能を果たすほかに、そのV2X通信システムには、ナビと相まって、交通と社会の難題解決と恩恵への寄与は、今後も計り知れない。

2004-2007年DARPAが主催し、全米のAVの研究者を動機付けたGrand ChallengeとUrban Challengeによる賞金付き走破コンペは、永年AVの課題だった車両周辺障害物の検出と回避、経路探索、操縦戦略、混合交通の走破等、図り知れない、AV技術への挑戦意欲と統力の底上げに貢献した。このコンペ勝者チームの先駆的技術成果をDARPAは連邦議会に報告した。本プロジェクトの終了後、この勝者を集めてAV技術を実用化レベルまでリードし、起業後、公道テストを経て実用化に漕ぎ着けたのはGoogleとGMだった。ここで生まれた技術は、交通の難題を解決するものとして現AVに引き継がれている。

CVは1999年にV2V/V2I通信周波数帯域が割当てられ、通信技術標準化が始まり、アプリ、ユースケース、ビジネス化ワークショップが繰返され、膨大な案出がなされた。CVは公的交通アプリが多く、連邦・州政府と民間が20年余かけて開発と実用化設営が全米で始まっていた。その矢先、連邦周波数管理当局FCCは2021年に5.9GHz周波数帯域再配分、DSRCはC-V2Xに移行と言う新ルールを発行した。それは連邦DOTと州政府と、参画していた民間の意欲と勢いを不自然に削いだ。これには大きなイナーシャの長い減速期間が余儀なくされた。DOTは2021年11月成立した交通立法IIJA FY2022-2026の中でその移行管理と必要予算を充てている。

2004年、筆者は米国学術研究機関招請された客員として渡米した。これを良い機会と捉え、その前後から本分野の米国官学の会議体や連邦と州政府の開催する法規制作の公開会議やワークショップに参加しつつ、ITS, AV, CVに関わる研究機構や企業の研究所を顧客とするResearch & Consulting事業として、特定分野の探索を20年近く行った。それは、本分野の大きなうねりを通年観測・俯瞰し総括する絶好の機会となった。その殆どは自主事業だったが、折にふれ、また年間まとめとして、日本の本分野の専門家や有識者にEmailによる配信を行った。

直近2023年前後、この研究開発分野は諸面で転換期を迎えた。それは各分野で峠や節目にさしかかった事と、異分野・新興技術が押し寄せたからでもあった。例えば、AV安全性向上には、AI、自車と他車・歩行者・道路環境との情報交換表現法を目指す研究開発、異言語転換ソフト等があった。リーダ的なWaymoの最も経験豊かなドライバを目指すAV研究開発も随時開示されてきた。今後、生成AIはじめソフトウェア技術の進化、目覚ましい機械翻訳の進歩による異言語間の表現転換の取込みも、AV, CV, ITSを刺激、寄与するだろう。コロナ蔓延と終息も想定外の影響を及ぼしている。

Web化:本分野の転換期を良い機会と捉え、筆者のこれまでのITS, AV, CVの通年定点観測・全体俯瞰・総括の動向配信を、Webに載せて立ち上げることとした。Web化移行・開発には、月日がかかると予想され、ご理解とご協力をお願い申し上げます。

執筆方針

『ITS, AV, CVの最新動向』を、弊社と執筆者の参画する研究開発・会議体と共に、文献・メディアソースを探索・調査、弊社と執筆者の永年の知見蓄積を基に執筆者の観測を記述する。分野毎に経緯・通年観測を行い、総括・俯瞰する事を重点とする。

引用源典を記述する。源典著作権を尊重することを大切にしつつ、『執筆者の過去の知見、体験等を基に執筆者の観点の記述を主題とする』方針で記述。本分野の重要対象を厳選し、複数ソース、背証確認、原点に遡って位置付け確認等に拠り、偏向を運ばない様に努める、単独、独占記事等の引用を含む場合はその旨を記す。

『ITS, AV, CVの最新動向』に関する、米欧の法規制・政府施策動向、産業界、動向を網羅的に探索、深掘りを行う。主な探索ソースは、米国、欧州の英文メディアと文献に現れた米欧動向を主とし、日亜の動向は、基本的には対象外とする。

著作権:本報告が引用するものと執筆者の主文の区分を明示する。引用源典を直接参照される場合や、写真、動画、図表等のご参照をお奨めする場合は、引用ソースURLから直接ご覧下さい。本執筆、および、引用ソースの記述・図表・写真等を引用、複写、転送される場合は、引用先を記されることをお願いします。各源典著作権には各位の責任でご配慮下さい。本報告に執筆者が原典の写真、動画、図表を掲載する場合は掲載可能な政府公刊物や企業のメディア用プレスレリースに限り、引用先も明示する。引用・転載禁止の写真・図表がある場合は原典URLを記す。源典をご参照下さい。

専門用語、地名、人名、企業名、ソースメディア等:対象読者は、本分野の官民学専門家・有識者と想定して記述します。専門用語・Acronymは、それが主題のキーとなる場合は出来るだけ説明を挿入しますが、頻繁に出てくる本分野の用語は、『引用ソースのURL, Google, Wikiご参照等』と記すに止めます。固有名詞は全て、各国言語で記述します。国名等で、米国、日米欧など日本語が常用されて居る場合はそれらを活用します。本分野は広い業際・学際分野のため、オールマイティな用語の説明には到底至らず、各位の補完に頼らざるを得ませんので、ご面倒ですが、引用先をご参照下さい。

配信要領

・当面自主事業β版配信として半~1年程、各位のお手許にURLをお届け致します。 β版URLと内容は各位に止めて頂き、転送・拡散は想定外の利害干渉を恐れます。

・新たに配信ご希望の方は、nkomoda6678@outlook.com宛『配信希望又はSubscribe』と記し、各位のEmail Addressとお名前、(組織等)を添えてご連絡下さる様にお願いします。配信ご無用な方は『配信無用又はUnsubscribe』と記し、ご連絡下さい。

・Web化に当って調整のため、配信頻度にむらがでることがありますがご容赦下さい。 文脈、誤変換等、校正・推敲を重ねますが、監修中の速報としてご理解をお願いします。

・ご意見・ご質問を是非お寄せ下さい。筆者、編集者の動機と改善の基礎となります。

編集者略歴:薦田紀雄

・1965年、京都大・工学修士修了。

・1965-2000年、トヨタ自動車にて、自動車の製品企画・開発企画・研究開発に従事。
また、車両企画・開発を通じ、衝突防止安全技術、AV、CV、ITSの研究開発に従事。

・2000年、(株)さくらエンタープライズにて、同分野のリサーチ・コンサルティングに従事。
2004年、SAKURA Associates LLC (米法人)をSan Francisco湾岸に起業、現在に至る。

会社沿革: (株) さくらエンタープライズ

・1966年、本Webの編集者・社長:薦田紀雄の先々代が、先立つ代々の瀬戸内海産・農産物・肥料・燃料取引、および、農地・漁業開拓・管理を事業とする商事会社(株)を愛媛に創業。

・1998年、本Webの編集者・社長:薦田紀雄の先代が名古屋市に移転。

・2003年、現編集者・社長:薦田紀雄が引継ぎ、(株)さくらエンタープライズと改称。 定款に、ITS・自動車、そのシステム技術のリサーチ・コンサルティングを加え、ITS, AV, CVの動向探索と研究開発、調査を基幹使命とし、現在に至る。